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昨日の話。

神宮球場にて、ヤクルト対阪神を観ながら書いています。「ヤクルト」は飲み物のことでなく(笑)、野球というマイナな球技をやっている球団のことなのですが、皆さんにも一度はファンになってほしいです。

ほとんどのスポーツ団体は「ホーム」つまり皆が自チームのことを応援してくれる場所がありまして(サッカーの日本代表であれば、日本がホーム、海外がアウェイですね)、ヤクルトは外苑前近くにある神宮球場がホームなのですが、このホームに集まる人を調べると、たいていはヤクルトファンでなく、むしろ相手チームのファンのほうが多くてですね(笑)。今日の阪神戦を客観的に観ても、阪神ファンが7割います(残りの2割はヤクルトファン。さらに残りの1割はよくわからず観てる。逆に阪神のホームである甲子園に行くと、ヤクルトファンを探すゲームができるくらい少ないです)。

スポーツ観戦において、これほど精神を鍛える場所はないでしょう。想像してほしいんですが、「ホーム」と呼ばれる場所=自分が絶対的に安心できる場所に、おそらく自分にとって良きものではない他者が大勢入ってきて、場を荒らして帰っていく。そんな場所が神宮なのです。ペリーが浦賀に来たことを思い出さずにいられません。

とくに阪神が勝っているときは尚更で、今日は能美が最高のピッチングをするし、相変わらず鳥谷は良いバッターだし、いま8回表で4点目が入り、「六甲おろし」(歌の名前です。ソウル・ソング)が歌われました。

そんな場所で、自分がどうするかといえば、HAZY「平成」のDatakestra Remixを聴いて、少しでも気を紛らわすしかありません(精神を鍛えるどころか、現実逃避してるじゃん!)。

このブログの読者がどういう方なのか把握していないのが痛いですが(一応アクセス解析をやっているので、毎日1人くらいaikoファンがやってきて、「シアワセ」についてのブログを読むことだけはわかりました)、日本語ラップがまあまあ好きな人にはぜひ聴いていただきたいです。どういう角度から聴いても面白いと思いますが、ライムの組み立てやフロウとしては非常に簡単な部類に入る曲ですし、ここは歌詞を全部覚えて、自身の声で歌っていただきたいと思います。

「ライムの組み立てやフロウとしては非常に簡単」というのはディスでも何でもなく(先日、ラップを全く聞かない友人と話した結果、「ディスる」ってのは余裕で伝わる。「ワック」はちょっと危ない。「ドープ」は意外とジャーゴンだった。「スワッグ」なんて私もわかりません・笑)、長所だと思って書いています。KREVAがどれだけ凄いラッパーか、いまさら書く必要もないでしょう(いや、意外と書く必要があるから、いまだにこうしてラップに関する記事を書くのですが)。彼によって日本語ラップは「技術的に」広まりました。彼の考えるラップのスタイルが全て正しいとはもちろん思いませんが、少なくとも基礎的なパースペクティブを提示したことについては絶対的に誉め称えるべきです(で、結局「KREVAが一番ヤバかった」とか言われるようなストーリーを描いてきたわけですし)。

で、HAZYさんに聞いてみたいのは「KREVAのことって好きですか?」ってことで、自分の予想は「わりと好き」か「自然とよく聴いてた」だと思います。少なくとも「今流行のラッパーをガンガン聴きまくってる」って感じではないです。というのが、前述した通り、「ライムの組み立てやフロウとしては非常に簡単」だからで、ラップ自体を成長させることより、「そこで何を言うか?」に主題がおかれてると思ったからです。

そして、何でもそうだと思いますが、誰でもできることだからこそ、その少しの違いが大きな違いを生み出す、つまりオリジナリティ=身体性に結びつくのであり、その意味で、HAZYさんのラップには非常に強いオリジナリティを感じました(リリックの独自性ももちろんありますが、ここではフロウの微細に注目しています)。それを感じるには、とりあえず自分で歌ってみると、ハッキリとわかるはずです。たとえば語尾の言い方とか、単語の一音節ずつの発声のタイミングとか(これを言語化できるといいんですが、それは今後の目標です)。

とか書いている間に、もう8回裏が終わりまして、ヤクルト負けが確定しました。阪神ファンが盛り上がっています。


w-inds.の2014年ライブツアー「TIMELESS」が先日終了しまして(まだ香港があるようで、モノホンの人達は日本を飛び立つことになるわけですが)、飛び込みで国内千秋楽を見てきました。

感想は「言わずもがな」でも十分にいいんですが、開演直前と終演直後にメモったテキストを見返してみると、


(開演直前) ・見どころは、ジャスティン・ティンバーレイクからインスパイアされた「Make You Mine」を筆頭とするアーバンポップさをw-inds.がどれくらい披露するのか。ないしは、4つ打ちを推し進めた前作・前々作から、当初の彼らのキャッチコピーである「ヒップホップダンスグループ」にどれぐらい戻るのか。

・個人的には「killin’ me」がどんな風に歌われて、ファンがどんな風に受け入れていくのかが楽しみ。 (終演直後)

・ヒップホップダンスユニットになってるじゃない!!!ヤバかった!!!!! ・不満がひとつもないライブだったなー。


ライブ中に知能指数が極限まで低下したと思われてもおかしくない気の変わりようでして、実際、いまこのテキストは終演から30分ほど経っていますが、それでも興奮が冷めません。目当てのグループをなが〜い間追っているアイドルファン(「ドルヲタ」でしたっけ)が、どういうカタルシスを味わっているのか、その端っこだけでも感じられた気がします。

私がw-inds.を観る/語るとき、そこには「w-inds.は《ヒップホップダンスユニット》であった」ことが前提としてあるのですが、『TIMELESS』のアルバムならびにツアーのパフォーマンスは、この前提を存分に証明してくれて、そこにブワッと想いが込み上げてきました。

あえて言えば、今回とくに素晴らしかったのは「New World」や「Let’s Get It On」などの4つ打ちの楽曲——ちょっと意地悪に言えば「絶対にアガる楽曲」——を封印して、「グルーヴ」を主体としたパフォーマンスであったことです。意外にも(?)、メインボーカルの橘慶太でなく、コーラス・パフォーマーの緒方龍一が「今回のアルバムは生の演奏が加わることでより映えるようになる」という趣旨の発言をしていましたが、完全に同意します。

であるならば、当然のことながら「Sexy Girl」や「killin’me」は盛り上がるに決まってるでしょ!!ってことで、そうやって一人でバカ笑いしながら踊っていると、前述のようなメモ書きになっていったのです。

昔のブログが消えてしまったので、もう一度書き直す必要がありますが、私がw-inds.を追い続けようと決めたキッカケは「HYBRID DREAM」でした。その後、今井了介を中心としたプロデュース陣によって、世界標準のクラブ・ミュージックでヒットチャートに舞い戻ってきたわけですが、私は「今の彼らでもう一度ヒップホップに取り組んでほしい」と思っていて、それはたとえば「Don’t Remind Me」であったりするわけですが、こっちの路線が主となったらどれだけヤバいだろうか。というか、これをメインとして楽しめるお客さんで溢れたらどれだけヤバいだろうか、と妄想してきました。そして、これが実現したわけです。

いつものことながら「上手に伝える」ことが全くできていませんね(笑)。とにかく、ファンになってから5年。ついに「俺のターンがきた!」ってやつでしょうか。あらためて、もう一度まとめたいと思います。


菊地成孔による「モダンポリリズム講義」が面白く、こんな講義をなかば秘密裏に受けていていいのかという気分になっています(ニコニコ動画の有料チャンネルで、たしか月800円ぐらいだったかな。や、安い!)。これまでは「3×4のクロスリズム」を理解・会得し、最終的に「1拍の分割自由」と「ゆらぎ/なまりの獲得」まで目指そうというところですが、「5×4」が始まった瞬間に、前述のことが「ああなるほど」とまさしく腑に落ちまして、何年もモヤモヤしていたことがついに全貌を表した感じです(まあ「ヴェールが剥がれた」あとは、虚無しか残ってないこともあったり、実は剥がれていなかったり、色々とあるので油断はできませんが)。

ゆらぎについての考察は後にして、とりあえずこのエントリの説明をしたいと思います。

以下に載せる音源は、1拍5連符でつくったビートです。zipファイルもありますので、よろしければダウンロードして聴いてください。

分割した5つの音は、アクセントから次のアクセントまでを1かたまりとして扱うことにします。「ツ」をアクセント、「ッ」をノンアクセントとすると、「ツッッツッ」は「3−2」、「ツッツッツ」は「2−2−1」といった具合です。このようなパターンを5種類つくりました。

構造は、まずノンアクセントの音もわかるようにしたものが16小節、次にノンアクセントの音をより小さくしたものが16小節、そしてノンアクセントの音を発音しないものが16小節、の計48小節で成り立っています。

最後の16小節を5連符を意識しながら聴けるようになればゴールかな、と考えています。

付録として、1拍4連(いわゆる16ビート、基本的なビートですね)から1拍5連に変えたビート(8小節ずつ)を入れています(「16beat-20beat」)。これは4連と5連の刻むスピードの違いを確認するためです。図で見ると、下のようになります。

上のビートを聴くコツとしては、おそらく「最小単位の音をしっかりと意識して刻むこと」だと思います。私はこれをこれまで怠っていたために、リズム音痴ぶりを露呈していたのでしょう。

16ビートに慣れすぎて、5連符を身体に染み込ませるのは非常に難しいですが、これが自然と刻めるようになってくると、リズムの解像度が格段に上がると思います。

あらためて、「リズム」や「グルーヴ」という高くて真っ暗な山を、もう一度登ってみましょう。

※下のファイルをまとめてダウンロードする場合は、こちらから。

・16beat-20beat ・3−2 ・2−3 ・2−2−1 ・2−1−2 ・1−2−2 ・2−2−2−1


日時は祝日の15日月曜日、夜17時から。 場所は恵比寿のとびっきり上品なバー&クラブで。 音楽は、オシャレとは言えないけど、確実に「アガる」であろうJ-POPを。 後の要素は、そこに集うお客さんによって変わります。

んなわけで、「クラブってあまり行かないけど、楽しいなら行ってみたいな」というビギナーの方におすすめしたく、○○○(facebookグループ名)のスペースをお借りします。

ウソみたいな話ですけど、小堀はDJをやっているんです(もとはラッパーなんですよ!自分でもクリビツ!)。

今回は「初めて割」というキャンペーンをやっていて、エントランスが1500円(ドリンク1杯込み)。さらに缶バッジまでもらえます!

初めての方に向けて、このイベントは「文化系J-POPオンリーイベント」というキャッチコピーで、すべてが説明できるでしょうか(お客の平均体重とか計ってみたいですね・笑)。 当然、小堀もJ-POPをかけます。日本のポップスであれば、時代も性別も越えて、ノンジャンルでバカみたいに繋げまくります。

こういうイベントって、普通に楽しいのは前提なんですが、○○○でも同じかと思いますが、久々に友人と会ったり、将来のフェイバリットが生まれたり、まあ場合によってはそういう大事な一日になることもありまして。

facebookやtwitterをイジらなくなってから、こういうリアルな社交場で会って話したりすることの重要さを痛感しております。

つまるところ、友達たくさんで遊ぼうよ!ってことです。

とくに「ワイワイしたい!ワイワイ好き!」って方と、「ワイワイは好きじゃない。でもそういう場所への興味はあったんだ」って方。絶対に楽しいから!

恵比寿でお待ちしています。 ※イベント詳細は、以下よりお願いいたしますー。 9月15日(祝月)@恵比寿BATICA ろくでなし☆JPOP vol.32


ろくでなし☆J-POP vol.32 ~文化系によるJ-POPオンリーのクラブイベント~ 2014年9月15日(祝月) @恵比寿BATICA http://batica.jp/ 東京都渋谷区恵比寿南3-1-25 ICE CUBE1F Open 17:00~22:00 初めて割:1500円 with 1drink + [初]缶バッチ ※ろくでなし☆JPOPに初めて来るお客様は受付で言っていただければOK! [初]が皆に伝わり話しかけられるようになります。

前売:2000円 With 1drink 当日:2500円 With 1drink FacebookイベントページまたはTweetViteにて参加ボタンを押していただきましたらで前売り価格となります。

詳しい情報は、オフィシャルサイトにて。

カルチャミルク(後日、また別でエントリ書きます)でもJ-POPかけてはいますが、やはりこっちのほうが圧倒的に盛り上がりますので、クラブエントリーの方向けということでぜひ!


(ラップは0:34あたりから) > I said a hip hop,Hippie to the hippie, The hip, hip a hop, and you don’t > stop, a rock it To the bang bang boogie, say, up jump the boogie, To the

rhythm of the boogie, the beat. Now, what you hear is not a test - I’m
rappin’ to the beat, And me, the groove, and my friends are gonna try to
move your feet. See, I am Wonder Mike, and I’d like to say hello, To the
black, to the white, the red and the brown, The purple and yellow. But
first, I gotta Bang bang, the boogie to the boogie, Say up jump the boogie
to the bang bang boogie, Let’s rock, you don’t stop, Rock the rhythm that’ll
make your body rock. Well so far you’ve heard my voice but I brought two
friends along, And the next on the mic is my man Hank, C’mon, Hank, sing
that song!

前書きで「ヒップホップを練習する」と言ってはみたものの、ヒップホップとはどのように練習すればよいのでしょうか(笑)。当然のことながら、ヒップホップには体系化された練習メニューが存在しないのです。

そこで、「最初のヒップホップ」とも言われるシュガーヒル・ギャングの「ラッパーズ・ディライト」を試しにやってみようと思います。一番最初のラップをするワンダー・マイクの20小節をフロウ・ダイアグラムに起こしてみましょう(図1 )。

音節、視覚/聴覚の不一致

まず、このフロウ・ダイアグラムを記述するのに結構時間がかかりまして(笑)、自分の英語力の無さをあらためて痛感しますが、これには日本語と英語の違いのひとつである「音節 」が関わっているように感じます。 日本語は、極端にいえば、 ひとつの言葉に対してひとつの発音がついています。 たとえば、私の名前である「こぼり」は、「こ」と「ぼ」と「り」です(「しんかんせん」が「しん」「かん」「せん」であるように、そうでない場合ももちろんあります)。しかし英語は、たとえば「ブラウン(brown)」と書いても発音は1音で済んでしまいます。

初端からバカ丸出しなことを書きますが、日本人がラップを理解しようとして歌詞カードを見ると、まずブチ当たるのが、英語の視覚的な情報と聴覚的な情報の不一致ではないでしょうか。

カラオケでときどき洋楽を歌う人がいますが、テロップが早すぎて(文字数は多いので、テロップだと早く流れていきます。逆にテロップってのは日本語と非常にマッチするシステムで…、ってのは関係ないですね・笑)、ついていけないあの感覚に近いかと思います。

本書を読む以前から洋楽のラップを練習している方にとっては「あるある」だと思いますが、文字数がたくさんあるからきっとフロウするのだろうと思ってチャレンジしてみたら実際はゆったりしていて、実際のラップより先に歌詞を言い切ってしまう、という感じですね。

たとえば、このバースでいうと、2文字の「to」と7文字の「friends」はどちらも1音で発音しきってしまいます。フロウ・ダイアグラムは、こうした視覚/聴覚情報の不一致を整理するうえでも、良い効果があります。